メーカの工場では多能工という考え方があります。

多能工とは一人の作業者がいろいろな工程を担当するやり方です。製品全てもしくはパーツ全てを一人が工程を変えながら担当していくということで、非常にスキルが高い作業となっています。
このメリットとしては、いわゆる単能工とよばれるライン作業者のように単調作業を朝から晩までやるということではないので、仕事に変化があり、やりがいが上がる、また、それゆえ自分で工夫をするように考えるようになるというメリットがあります。また、多能工だと、その製品が終了してしまったとしても、いろいろなスキルがあるので他の部署へもうつりやすいということもあります。

実は、この多能工を育てるのは非常に難易度が高く、それなりに能力の高い人でないとなかなか多能工として育って行きません。

昔いた工場では、多能工の工程と人をクロス表にして、星取りみたいな感じで、それぞれの人のやる気を出させるような感じで運用していました。表にしとけば、他の人が見ても一目でわかるので、便利です。

これの考え方は当然ソフトウエアの開発においても当てはまります。

今の主流としては、サーバサイドとクライアントサイドで通信しながらのシステムがほとんどだと思いますが、サーバサイドとクライアントサイドの開発方法は全く思想が違うので、サーバだけのことを考えたり、クライアントだけのことを考えて開発するといいものは作れなかったりします。

これらをうまくやるためには、サーバとクライアントを両方作りながら一つに仕上げていくという能力が必要になってきます。これがまさに多能工の考え方です。当然、サーバとクライアントでは使う言語も、アーキテクチャも異なりますので非常に高いスキル、また、サーバサイドだと、アプリケーションだけではなく、ミドルウエア、時にはハードやネットワークにも精通している必要があります。

これらをふまえると、これ(言語)しかできないというような人はなかなか厳しい状況になってくることは間違いなし。
また、クライアントサイドは最新の技術を用いる必要がありますので(クライアントの技術は本当に日進月歩、10年前にはなかったスマホがいまではWebでは主流)、かなり勉強が必要となってきます。

こういう意味でも、多能工は開発製造現場での標準スタイルとなっていくでしょう