昨今はAIブームというかどこを見てもAI,AIと名のつくものが増えてきました。
実はAIの定義というものが結構曖昧だったりして、とりあえずコンピュータを使って何か計算したものを出せばAIだ、なんということが成り立ってきているのが現状です。

特に金融系ではFinTechという言葉がこの2年くらいもてはやされていますが、金融+ITというこのFinTechはじつは新しくもなんともありません。コンピュータが業務に使われ始めた1970年代くらいから真っ先に金融系でコンピュータが使われてきています。
この定義から言うとすでに1970年代にはFinTechが始まっていたということです。

最近のAIブームにせよFinTechに代表されるようなバズワードには注意が必要です。今までと同じような技術、製品でもAIと名をつけるだけで、全く新しいすごいものに見えてしまうのが実情なのです。よーく話を聞いたり中身を確かめてみると、全然最新でもなく昔の古い技術を使っていて、しかもAIと呼ぶにはあまりにもお粗末なものが非常に多いです。

FinTechがブームになりだした頃に最初に出た「プロダクト」と呼べるものが実は家計簿だったりします。スマホで家計簿がつけられる。それが銀行口座と連動する。これがFinTechと言うものの実態なのです。
こんなの10年以上前にPCでやっているところがあったのを知っています。まだPCもそれほど普及しているわけでもなく(一家に1台とかそういう時代)、当然のようにコンピュータリテラシーもそれほど高くもなく、いつの間にか消えていきました。

最近ではほぼ全員がスマホという名のモバイルコンピュータを持っているので、同じようなことをやっても成功するという現象が起きています。圧倒的にユーザ数が増えた分、使う人の割合が変わらなくても、絶対数で言うとかなりの数になるのでそれが成功要因になったのかもしれません。

話を戻すと、今、証券会社などで売り込まれているロボアドバイザーですが、あんなものはロボでもなんでもありません。昔ながらの金融工学、ルールベースに則った、いわゆる人間が決めたルールに従った上で作成されたおすすめ商品を、さもAIが選んだかのように見せているだけなのです。
金融工学の最も初歩的な、マーコビッツのポートフォリオ理論でリターンとリスクを計算しただけのもの、手計算でもできてしまうようなものなのです。実際Excelでも簡単に計算できます。

以上のように、特に技術や製品が大きく変わったわけでもないのに、最近のバズワードをつけただけというようなものが増えていますので、ユーザとしては目利きを鋭くする必要があります。